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俺達の周りの空気がだんだん重くのしかかり、花も何だか元気がなくなっているように感じた…俺がそうさせてしまったんだ。
彼らもきっと俺の事を知って他の人達と同じように嫌悪感を抱くだろうと思っていたが想像していたのと違っていた。
その声に、顔に、学兄さんのような裏があるとはどうしても思えなかった…学兄さんの裏を見抜けなかった俺が言うのも変な話だけど…
「…ひでぇ…なんつー奴らだ!!」
「君の兄弟がどんなに良いのか知らないけど……君は醜くない、こんなに愛らしい子なのに」
二人は周りの人間と違い俺に嘘偽りもない言葉で話しかけてくれる。
俺の事を思ってこんなに真剣になってくれる相手は初めてだった。
俺は醜くない…きっとそれはずっと待ち望んでいて欲しかった言葉だったんだと気付いた。
いつも自分に言い聞かせるように自分は醜いんだと思っていても、やっぱり醜いなんて思いたくはない。
その言葉、信用してもいいのかな…出会ったばかりの知らない人の言葉。
助けを求めるように手を伸ばすと、二人は手を掴んでくれた。
離さないように、しっかりと強く握られていた。
そして二人に引っ張られて、足に力を入れて起き上がる。
『俺(僕)達がいるかぎり、君は一人じゃないよ…だから泣かないで』
それは俺にとって…神様の救いの言葉のように感じた。
俺は二人を見つめて、またポロポロと涙を流した。
オロオロする二人に首を振って違うと主張した。
これは…嬉しいから泣いてるんだ、心配掛けたくないから泣き止みたいが涙が止まらない。
嬉しい時も涙を流すんだと、この時初めて知った。
銀髪の子が俺の頬に触れて、優しく撫でてくれた。
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