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すぐにその腕は黒髪の子に叩かれていて、俺から手を離した。
睨み合う二人は仲が悪いのではなく、仲がいいからこそ喧嘩し合っているような雰囲気だった。
俺には、仲がいいから喧嘩をする友達がいないからただの想像でしかないけど…
黒髪の子は銀髪の子の真似をして、俺の頬に触れた。
ただ触るだけかと思ったら、頬を軽く擦られてこねられた。
痛くはないがびっくりして、ギュッと目蓋を瞑った。
面白いのか分からないけど、されるがままになった。
「笑った顔の方がいいんだから、そんな悲しい顔するなよー」
「もっと慰める優しい方法を知らないの?」
銀髪の子は黒髪の子の腕を叩いたが、俺の頬を離さなかった。
黒髪の子の腰を蹴り飛ばすと、俺から手を離した。
その代わり、蹴られた衝撃で俺の方に倒れてきた。
一瞬身体がふわっと浮いたと思ったら、尻餅を付いた。
擦り傷になる事を覚悟していたら、痛みは全くなかった。
衝撃に耐えようと瞑っていた目蓋を開けると、目の前には銀髪の子が慌てて駆け寄ってきた。
「ご、ごめんね!怪我はない!?」
「痛くないから大丈夫だよ、あれ?あの子は…」
目の前には銀髪の子しかいなくて、周りを見渡す。
何処かに消えてしまった、そんな事が本当に起こるのか?
銀髪の子が手を差し伸ばしてきて、掴んで立ち上がった。
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