第一話

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……英次を助けるためが学院に行くと決めた全てだが決めたのは俺だ、だから英次には何でもないんだと言った…だから気にするな。 でも俺がクロス学院に入るには今の学校を辞めなくてはいけない。 内緒にしてもいずれバレる事なら、今俺の口から言った方がいいな。 英次は驚くかもしれない、怒るかもしれない…でも…もう決めた事なんだ…英次は学院に行くのを諦めたのに自分勝手でごめん。 「英次、ごめんな…俺のために同じ高校に入ってくれたのに」 「……瑞樹どうしたんだよ…俺は」 「…他人事みたいだけど、お前もクロス学院に行くんだよ…人間もどきが日常生活を送れると思わないことだな」 少年が英次を睨みながらそう冷たく吐き捨てた。 え?英次も連れて行こうとしていたのか?確かに英次にクロス学院からの入学案内が届いていたから不思議ではない。 英次がいれば俺も安心出来るけど、英次はそれでいいのか? 英次はさっきの苦痛に歪む顔ではなく怒りを露わにしていた。 …どうしたんだいきなり、英次が知らない人に怒るなんて珍しい…言い方が気に入らなかったとか? それに、さっさ変な事言ってたな……人間もどきって… 「違うっ!俺は人間だ…俺は…」 「この人の前で堂々と言えるか?嫌われたくないからと逃げてただけだろ」 「……っ」 英次は俺をチラッと見ていて言葉が詰まっていた。 何も言わず唇を噛む英次を不安そうに見つめる。 嫌われるってなんだ?よほどの事じゃないと嫌うなんてない。 英次は俺を受け入れてくれた、俺はどんな英次だって受け止める。 今まで喧嘩したりしてもそうしてきただろ。 でも英次は俺に嫌われると思って震えているのか。 少年は大人しくなった英次の胸ぐらを掴んだ。 またなにか英次にするのか身を乗り出して止めるが、少年が手を広げてそれを止めた。 「ムカつくが、お前を学院に連れてくるのも俺の仕事だからな…お前もクロス学院に来るんだよ…人じゃなくしてやる」 「いっ、嫌だ…嫌だぁぁっ!!!!」 英次を突き飛ばして、英次は頭をかかえていた。 こんな英次、初めて見てどう言葉を掛けたらいいか分からない。 少年は用事があると明日迎えを行かせると言い、何処かに歩いていった。 人間じゃないと言っていたが、彼が何者なのか聞きそびれてしまった。 あのカラスはいつの間にかいなくなっていた。 まだ泣いている英次の傍に近付いて、膝を付いて座る。 「英次、俺も行くから平気だ」 「…瑞樹も人間じゃない?」 泣きすぎて真っ赤になった目で俺を見つめていた。 俺は人間だと思っていたが、英次が人間じゃないなら俺も人間じゃないのか?
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