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「ほらほら!そこのお客さん!うちの品も見てっておくれよ」
「こっちもどうだね! この辺りじゃ珍しいレルアバドの特産!フナの塩漬け。酒のつまみにぴったりだ!」
祭りのように毎日が賑やかだ──
交通もすっかり整備され、田舎町のザビアにも他国の観光客が沢山訪れ始めている。
警備にあたる黒い装束に身を包む公安の特殊部隊。その姿がちらほらと見える中、店頭に並ぶ品に怪しい物は一つも見当たらない。闇市が盛んであった頃の影はもうすっかり消えてしまっていた。
「敬礼!」
「ああ、いい。気にせず警護に集中してくれ」
「はい!」
町の入り口に横付けされたジープから颯爽と降りてきた軍の上官。アサドに、巡回中の隊員達は姿勢を正した。
掛けていたサングラスを外しアサドは町を見渡す。
砂漠の中央に位置する国。ここ、ファジュル王国にしては中々お目に掛かれない品物が屋台にはところせましと並んでいた。
「これはなんだ?どこの品だ?」
町の奥へ進むとアサドは何気に屋台に広げられた魚の干物を見つけ、尋ねていた。
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