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退院してからずっと、あのときの少女を探している。
ただの人間だった僕を助けてくれた、人間ではない彼女。
僕の話を笑わなかった、彼女。
あの子は「神さまなんていない」と、断言した。
その真意が聞きたくて、色々と手は尽くしてみたけれど、何せ手がかりが少なすぎて。
名前も年齢も分からない。背格好だって曖昧だ。
ただ、見かけたら絶対に分かる自信だけ。
最近はもう、あのときのビルに近いカフェから
通行人を眺めるくらいしかできることがない。
店員にはそろそろ名前を覚えられてもおかしくないだろう。
彼女がここに戻ってくる保障はないけど、それでも、何もせずにはいられなくて。
いつか必ず、会えたらいいなと想いながら。
終
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