1セントコインの記憶。

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「確かにスキって、書いてあるね。コレどうしたの?」 「財布に入ってた」 「え、それって!まさかラブレター的な!?」 「それはない。財布は肌身話さず持ってるから。だから、誰かが意図的にコインを財布に入れることはできない」 「…そうか」 「きっと、お釣りに紛れ込んでいたんだと思う」 「でも、誰かへのラブレターに変わりはないんじゃない?」 なんて、カナコはロマンチックなことを言う。 だけど、わざわざコインに書く? それもこんなに小さく? その真実は私にはわからない。 だけど、これだけはわかる。 このコインが財布の中に紛れ込んだその日に、キミが私の瞼の裏に現れたということ。 このコイン。 そしてキミ。 どんな関係があるのだろうか。
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