1セントコインの記憶。

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「その学校に、イケメンはいませんか!?」 「は?」 「えっと、甘栗色の髪の毛に、切れ長の瞳に…。と、とにかく!少女漫画から飛び出してきたようなイケメ!!」 この発言に、後ろでカナコが呆然としている。勿論、目の前にいる相手も。 「いませんか!?」 逃げられないように、ガシッと両肩を掴むと、相手はおずおずと口を開いた。 「土居のことかな…」 …土居(どい)? 「そ、その人は、何年生ですか!?」 「二年だけど…」 二年生は、私と同じ歳だ。 「ど、土居君は!まだ、学校にいますか!?」 相手は、私から視線を反らすとポツリと言った。 「死んだよ」 …え? 「三ヶ月前に」 「ちょっと待って。まず、土居君の写真はないの!?」 「アンタなんなの?」 「彼女!」 すると男の子は、怪訝そうな顔をする。いやむしろ、変質者を見るよう目だ。
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