1セントコインの記憶。

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「アイツ、学校に彼女いたけど?」 その言葉に思考が止まる。 彼女がいた…? 「…と、とりあえず!写真見せて!!私の言ってる人が、本当に土居くんか確かめたいの!!」 「は?アンタ、自分の彼氏って言ったろ?なのに顔も知らないのかよ?」 うっ。と、言葉に詰まった私に、相手は益々怪訝そうな顔をする。 しかし、ここで引き下がれない。 「と、とにかく!早く!!」 相手は危ないヤツから早く解放されたいと思ったのか、スマホを見せてくれた。 「コイツだけど…」 「っ…」 クラスの何気ない光景を写した写真。男子も女子もふざけたポーズを取ったりして、笑っている。 __その中に、キミはいた。 「もういいだろ」 軽蔑した目を向けると、相手は走り去っていく。私はしばらく、そこから動けなかった。
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