1セントコインの記憶。

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「幽霊ってこと…?」 カナコは、何も答えない。 ただ私の背中を、擦ってくれる。 死んでいた。 彼女がいた。 頭がついていけない。 だけど私は、やっぱりキミに会いたくてまた目を閉じる。 すると、こんな時なのにキミはいつも通りに笑っている。 そして、私に向かって手を伸ばす。 やめて…。 なのに意思とは関係なく、瞼の裏の私は手を伸ばす。 しかし、その光景に違和感を覚える。 「違う…」 私は、萌黄色の制服なんて着ていない。なのにキミに向かって、伸びる腕はキミと同じ制服。 __これは、私じゃない。 1セントコイン。 スキの文字。 キミ。 手を伸ばす萌黄の……。 その瞬間、ハッとする。 「ユリ!?」 私は、橘高校に向かって駆け出した。
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