1セントコインの記憶。

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「す、すいません!!」 パラパラと下校する生徒の中から、適当に声をかける。 「ど、土居くんの彼女って…、まだ学校にいますか?」 ゼーゼーと肩で息をする私に怪訝そうな顔をしながらも、目の前の女の子は答えてくれた。 「…私ですけど」 へ?思わず、呆然としてしまう。 まさかこんなに早く、お目当ての人に会えるなんて思ってはいなかった。 時間と労力をかける覚悟だってあったのに…。 「…何か、用ですか?」 彼女は、腰まである艶々の黒髪を片耳にかけると首を傾げる。 可愛らしい粒らな瞳。 ぶっくりとした唇。 この子が、キミの彼女なんだ…。
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