1セントコインの記憶。

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「これ…」 私は急いで制服のポケットから1セントを取り出すと、彼女の瞳が見開かれる。その姿を見て、私は全てを悟った。 「これ、あなたのですよね?」 全ては、ここから始まった。 コインが私の財布に紛れ込んだその日から、キミが現れるようになった。それならば、このコインとキミが関係していると考えられる。 持っていたのがキミなのか。 もしくはキミの大切な人が持っていたのか。 __スキ。 しかしその文字が、ただのコインではないと教えている。 これは、カナコの予想通り。 どちらにしても、1セントコインはラブレターなんだ。 「……何で、コレを」 彼女は、震える指先でそっとコインに触れる。とてもとても、愛しそうに優しく。
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