1セントコインの記憶。

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「え!?いつ!?」 真冬の寒空の下で、私は友達のカナコに問い詰められる。 学校に来て、真っ先に報告をしたら屋上へと連行されたのだ。 「昨日ね」 「昨日!?あんた、好きな人いたの!?」 「いないよ。昨日、初めて会って一目惚れしちゃった」 「あんたが一目惚れ!?」 驚くのも無理はない。 生まれてこのかた17年。 人を好きになったことすらないこと、友達のカナコは知っている。 「どんな人よ!」 「えっとね…、髪の毛はサラサラの甘栗色で、瞳は切れ長で少し色素が薄いの。唇も形が良くて…」 そっと目を閉じて、彼のルックスをもう一度確認する。 「あ。あとね、鼻も高い」 「で、どこで出会ったのよ!」 カナコは、顔をグイッと近づける。相当、驚いているようだ。 「それがね、突然現れたの」 「は?どこに?」 「頭の中」 その瞬間、カナコがあんぐりと口を開けたまま固まる。
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