1セントコインの記憶。

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キミが現れたのは、昨日の夜のこと。寝ようと思って目を閉じたら、突然キミは私の瞼の裏に現れた。 萌木色のブレザー。 グレーのスラックス。 そして目尻に皺をつくり笑うその顔に、一目惚れをした。 どこかであったこともない彼が、どうして突然、この瞼の裏に映るのかは私にもわからないけれど。 しばらく笑うキミを見ていたら、形の良い唇が小さく動いた。 __スキ。 声は聞こえないけれど、確かにその口は言葉を紡いだ。 私も彼がスキ。 彼も私がスキ。 ならば、それは両想いでしょ? そういう経緯を経て、私達は出会ったその日に交際がスタートしたのだ。
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