1セントコインの記憶。

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「おはよ、高木くん!虫眼鏡貸して!」 「おはよ。はい」 朝から高木くんに声をかけると、制服のブレザーのポケットから虫眼鏡を取り出した。 「何、やってんの?」 「あ、カナコおはよ。ちょっと、文字を…」 「文字?」 私は1セントコインを机の上に置くと、虫眼鏡を覗いた。 __スキ。 「スキ…」 「は?」 私は、不思議そうな顔をするカナコに虫眼鏡を押し付ける。 「これ、スキって書いてない!?」 渋々、虫眼鏡を受け取ったカナコは丸いレンズからコインを覗き込むと、ゆっくりと頷いた。
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