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降臨するオッサン
白石亮太はへたれ込み、ポカーンと口を開けていた。
「おうおうおう! どうしたんだ亮太! なに間抜けな顔してやがる!」
彼の前に仁王立ちするオッサンは、無駄にテンションが高い。
その見た目もアロハシャツに花柄の短パン、ハット帽にサングラス、サンダルと、見るからに南国常夏バカンス全開だった。
「……あんた、誰?」
亮太はそんな質問をするのが精いっぱいであった。
「あん? 俺か? 俺は……そうさなぁ。お前に分かりやーすく説明すると、神様だ!」
「か、神様……?」
どう考えても妙である。
こんな威厳も神々しさも感じないオッサンが神様だと。どちらかと言えば、一言で分かりやーすく説明すると、不審者である。
だが亮太はそれを否定しない。できないのである。
何しろこのオッサン、歩いていた亮太の頭上から、突然「とうっ!」などと叫び、さながらヒーローの如くご降臨なされたのだった。
亮太は改めて頭上を見上げる。当然、晴れやかな青空とマシュマロのような形をした雲しかない。ではいったいどこからやって来たのか……。亮太には、想像も出来なかった。
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