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何度も愛しあった後。
ふたりの息が落ち着くとベッドの上でお互いの髪を撫でながら、彼女は訊いてきた。
「……ずっとそばにいてくれるよね?」
彼女が、嬉しそうに微笑む姿が私には朝の陽射しより眩しく感じた。
「あたしと出会っていなかったらアナタは誰を好きになっていたの?」
「人を好きになるのに『もしも』はないよ。アンタが好きなんだから」
「一番好きな人と一緒になるなって言うけど一番好きな人と一緒になれる人ってどれくらいいるのかな? ……アナタは後悔してる?」
私は枕に顔を埋め彼女を見ずに言った。
「してないよ」
「よかった……もう、友達じゃないよね?」
彼女の言葉に私は涙が出るほど笑いながら言った。
「あたり前でしょ」
彼女は舌で私の涙を拭った。
「涙……甘いね。そうだね。もう友達じゃないよね」
大学生活はまだ始まったばかり。考える時間だっていくらでもある。
そう。恋人とふたりで考えれば良い。ふたりならきっと大丈夫。
カーテンを引くと窓の下に寄り添う百合の花が咲いているのを眺めた彼女はクスっと笑っていた。そのときの彼女は私が今まで見た中で一番かわいかった。
『夜風』 了
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