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窓際神《まどぎわのかみ》
「あ~あ、ほんとに暇じゃのぉ。何かおもしろいことはないのか。」
天界で一柱の神様が暇そうにしている。
長いこと神をしていると下っ端に仕事を任せ、普段は暇じゃ。何か”こと”が起きない限り私に用はない。
それもかれこれ数百年は暇にしておる。
まぁ、そもそも何事もなく、わしが暇にしておることこそ天下太平というものじゃがのぅ。
ある日、この暇な神様はいいことを思い付いた。
「そうじゃ、これから地上に生まれくる者の一生でも見ることにしようではないか。よしよし、そうしようそうしよう。」
そう言いながら目をつぶる。
しばらくすると、今まさに生まれたばかりの赤ん坊が見えてきた。
「おぎゃー。 おぎゃー。」
おお、元気そうじゃ。
この者はどんな人生を送るのじゃろう。
わしは神とはいえ、この子の運命まではわからん。
担当が違うのだ。
生まれたばかりで新しい環境に送り出された、赤いかおの小さな赤ん坊。
母親はとても嬉しそうにその赤ん坊を見つめている。
そうじゃ、この赤ん坊に名を贈ろうではないか。
わしが見守っているのを忘れぬように。
この子を"まもり"と名付けよ。
母親の名は榊承子、父親の名は榊衛護。
「名前どうしようか?いろいろ考えてたよね。」とエイゴがショウコに問いかけると、
「そうねぇ、私決めてた名前があるんだけど。この子を見てるとなんだかその名前とはイメージが違うような気がして…。どんな名前がいいかなぁ?幸せになってほしいし、将来いろいろ困らないように…。」とショウコが答えた。
「それじゃ、いろんなことから守られるように"マモル"はどうかな?」
とエイゴが提案した。
ショウコは少し考えてから、
「女の子だし、"マモリ"にしようか。」と言った。
「そうだね。マモリにしよう。」
エイゴは妻の言うことをいつも優先する。その方がうまくいくことを今までの経験から学んでいたからだ。
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