偽りの眠り

おじいちゃんの入院

　お母さんの話によると、おじいちゃんはなんだか歯が痛くなって歯医者さんに行ったらしい。でも歯は全然問題無くて、循環器科の受診を勧められたそうだ。半信半疑で病院に行ったら、心筋梗塞で即入院とのことで本人もびっくりしたそうだ。私もへぇーって感じだけど、どうもそういうことがあるらしい。
　おじいちゃんもおばあちゃんも昭和一桁生まれ。元気でピンピンしてて、健康診断も問題ないって言ってたのに。
「じゃあ、病院に行って来るから、留守番よろしくね。あ、あとお兄ちゃんにも知らせておいてくれる？きっと社員寮で暇してるだろうから。」
　と、やっぱりというか、お母さんはとりあえず病院にお見舞いに行った。まったく困っちゃうわよね。
「あ、お母さんたら、私のお昼はどうするの？…って、出かけちゃったよ。」
　あ～あ…。

　仕方がないから、お昼は食パンにブルーベリージャムを塗ってインスタントコーヒー入れて、寂しくモソモソと済ます。コーヒーをちびちび飲みながら、お兄ちゃんにメッセ。今日は休みのはずだから、寝てるかゲームしてるか、どっちにしても返事が来るのは夜だろう。平成一桁生まれのお兄ちゃんは変に老成していて、私から見ても少し、…いやかなりイライラさせられる。相変わらず彼女もいないし、マイペースだ。
　早速、明るい着信音が鳴った。
「お？はや！…は？関係ないし！」