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冷房がよく効いていた。でも私は冷え症だから、ちょっと寒い。綺麗で白くてヒンヤリしていて、なんだかヒトの生活するところじゃあないみたいだ。
部屋の入口にパイプ椅子がいくつか置いてあった。私達は椅子を持ってきておじいちゃんの眠っているベッド脇に並んで座った。う、座り心地悪い。使い込まれたパイプ椅子によくあることだけど、座面がツルツルになって前下がりになってしまっている。座るとおしりがズルズルと前にズレて、その度に深く座り直さなきゃならない。コレは長時間は座れないな。
ベッドのおじいちゃんを改めてよく見ると、鎮静剤のせいか口を少し開けて力が抜けたような感じで寝てる。かなり不謹慎だけど、いわゆるタマシイが抜けたような感じだ。きっと寝たきりになるってこういうことなんだろうな。布団から手と肩が出ていたので触ってみた。冷たい…。おじいちゃんの手ってこんなに細くて小さかった?私は薄い布団を肩まで上げて、手も布団の下にしまってあげた。
居心地の悪い椅子に座っていたら、看護師さんが点滴を替えに来た。
「あら、今日はお孫さんですか?…え、カップル?」
バカな!
「いやいやいや!兄妹ですよ!」
お兄ちゃんが慌てて否定する。そうだそうだ!私に彼氏ができたとしても、こんな冴えないオトコはありえません!
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