遠い目覚め

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遠い目覚め

 その後、おじいちゃんの容態が再び変わった。  そろそろ治療が終わるから、鎮静剤を射たないことになったのだが、薬の効果が切れても起きない。どうやら昏睡状態になっているらしい。血液検査で糖尿病が深刻な状態になっていることがわかった。健康診断ってあんまり当てにならないんだなあ。  おじいちゃんは未だ目が覚めず、ICUから出られないままだ。糖尿病のせいで人工透析が必要なのだが、血液が一度体外に出て透析機械に送られると、血圧が低下して心筋梗塞で弱った心臓に負荷がかかるらしい。お母さんの話では、なんだか毎日弱っていくようで見ていられないという。おじいちゃんはこのまま目が覚めないの?  そんな中、私は再びお兄ちゃんと一緒に泊まり込むことになった。  先の泊まり込みで病室には長くいられないのがわかっていた。(だっておしりが痛いんだもん!)今日は準備して本とゲームとお菓子を持ってきた。 「お前、ピクニックかなんかと勘違いしてるだろ?」  うるさいな。だって暇なんだもん!  私とお兄ちゃんは一応病棟に入っておじいちゃんの様子を確認した。長居をするつもりはなかったから、パイプ椅子は使わなかった。     
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