小さな神様

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「その通りだ、大いなる神は居ない、でもな、小さな神様は居るんだぞ、木村」 「小さな、神様・・・」 「そうだ、神様ってのは、人の心の中だけに存在するもんでな、その神様は小さくて、非力で、何も出来ない役立たずだ」 「役立たずなんですか」 「あぁ、何も出来ないくだらない存在、それが神様の正体だ。でもな、木村」 「はい」 「小さな神様には特技がある」 「と、特技といいますと」 「ははは、木村、小さな神様の特技は、人と人をつなげて、協力して少し大きな神様になるって特技だ」 「合体して大きくなるって、なんか、アニメみたいじゃないですか」 「そうだな、アニメみたいなもんだが、実際、沢山の人の心にある神様が合体して大きな神様になったときにこそ、神様は力を発揮できる。この日本社会が平和を保てるのは、皆の心の小さな神様の力なんだよ」 「なるほど・・・」 「優の中の神様は、人より大きくて、強い。人は、持っている神様の力が強すぎるとな、間違ってこんな場所に来ちまうのかもしれんな。ほら見ろ、木村」 木村が部長に促され再び優に目を向ける。 「あいつが見ているのは、俺たちには見えない、神様なんだ」 優がまたひとつ、違う匿名的な空間に微笑んだ。 「じいちゃん、俺、明日も頑張るでし、見ててね」             了image=510260550.jpg
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