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優は、何時もこうである。
「優、今回は何日だ」
「はい、2週間でし」
懲罰房も、朝の起床は一般房と同じ6時30分である。
一般房では7時に朝食が配食され、食事が終わり7時30分になると、受刑者はそれぞれに配役されている工場に出役する。
しかし、懲罰房では朝食が終わると、次は昼食まで何もしてはいけない。
「何もしなくてもよい」
ではなく、
「何もしてはいけない」
のである。
懲罰房には、一般房のようにテレビもなければラジオもない。
本の持ち込みも禁止、発信停止処分により手紙を書く事もできない。
就業時間の間は、体を横たえることは勿論、壁にもたれることも、居室の中を歩くことも、机に肘を付くことさえ許されない。
安座で決められた一方向だけを向き、只管に何もせずただ座り続けるのみである。
唯一、排便だけは認められているものの、それも刑務官に散々に嫌味を言われ、焦らされ、漸く許可を貰ってのことである。
この規則を破れば当然、懲罰期間は延長され、よって懲罰期間を消化することが出来ず、なかなか一般房に復帰することが出来ない者も少なからずいる。
「何もしてはいけない」
この恐ろしく辛い 規則。
しかし、どうやら優にはこの規則、余り苦にはならないのかも知れない。
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