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今日も、優が匿名的な空間の一点を見て微笑んでいる。
「こらぁ!!貴様!!何を笑ってる!ここは懲罰房だぞ!!」
木村と云う新任の刑務官が優の居室の前で、笑っている優を怒鳴りつけた。
「木村、大目にみてやれ」
「は・・しかし大垣部長・・・」
「おい優、どうした、またじいちゃんが来たのか」
「先生、今日は神様でし。神様がね、褒めてくれたでし」
「そうか、よかったな優」
「ありがとでし、へへへー」
優がはにかみながら答える
しかしその様を見ていた木村は怪訝な顔で大垣に質問をする。
「部長!就業時間中ですよ!いいんですか!」
「あぁ、まぁ、あいつだけは大目に見てやれ」
「何故あいつだけ特別なんですか」
「あいつはな、神様みたいな奴なんだよ」
「か・・神様?」
「木村、神様は居ると思うか」
「自分は、そんなもの信じません」
「神様ってのはな、この世の何処にも居ない。神社にも、寺にも、神仏なんざぁ居ないよ」
「自分もそう思います。大いなる神がいれば、戦争もないし、貧困もないし、犯罪も無くなるはずですよ」
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