小さな神様

7/8
前へ
/8ページ
次へ
今日も、優が匿名的な空間の一点を見て微笑んでいる。 「こらぁ!!貴様!!何を笑ってる!ここは懲罰房だぞ!!」 木村と云う新任の刑務官が優の居室の前で、笑っている優を怒鳴りつけた。 「木村、大目にみてやれ」 「は・・しかし大垣部長・・・」 「おい優、どうした、またじいちゃんが来たのか」 「先生、今日は神様でし。神様がね、褒めてくれたでし」 「そうか、よかったな優」 「ありがとでし、へへへー」 優がはにかみながら答える しかしその様を見ていた木村は怪訝な顔で大垣に質問をする。 「部長!就業時間中ですよ!いいんですか!」 「あぁ、まぁ、あいつだけは大目に見てやれ」 「何故あいつだけ特別なんですか」 「あいつはな、神様みたいな奴なんだよ」 「か・・神様?」 「木村、神様は居ると思うか」 「自分は、そんなもの信じません」 「神様ってのはな、この世の何処にも居ない。神社にも、寺にも、神仏なんざぁ居ないよ」 「自分もそう思います。大いなる神がいれば、戦争もないし、貧困もないし、犯罪も無くなるはずですよ」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加