この状況を数式で説明せよ?無理!!

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「あの」 「おお。ようやく話を聞いてくれるだな」  諦めて起き上がった僕に、目の前のスーツ姿でもじゃもじゃ頭の男は嬉しそうに笑った。ううん、時代的にちょっと若い頃の姿だなと、僕はそいつをじっくり観察して思った。 「それでアインシュタイン博士」 「うむ」 「どうして現代に?つうか、なんで僕の部屋?」  これが夢だから眠れないんだと、無理矢理な思考転換を果たした僕は、目の前のイケメン時代のアインシュタインに向けて問うた。そう、何故か現代の僕の部屋に、すでに死んで何十年も経つお方、アインシュタインがいるのだ。しかも、あの奇跡の年と呼ばれた頃の姿で!!  ちなみにあの舌を出した写真を知らない方がいるなら、ネットで検索することをお勧めする。彼は、若い頃は意外とイケメンなのだ。さすが、浮名を流しただけのことはあるよ。うん。天は二物を与えずなんて嘘で、アインシュタインは才能も容姿も恵まれている。って、誰に向けた解説だ? 「俺も目覚めたらここだったんだ。今朝八時頃の話だな。そこの時計で確認した。いやはや、時計がこうもデジタルになるとは驚きだと思っていたが、あちこちが機械化されていてびっくり仰天。一日、すんごく楽しかったなあ」  いや、説明がいつしか感想になってるぞと、僕は呆れる。明日も早いんだよと、そのアインシュタインが見たというデジタル時計を見た。時間は深夜二時。まさしく丑三つ時間近。 「あの、現代日本を堪能された話は後で聞きますから」 「そうだったな。俺はすでに死んだはずなんだよなあ。どうしてあんな不可思議な量子力学が成功するのか。謎だなと思いながら死んだはずだ」  マイペースかつ大物理学者感を漂わせるアインシュタインに、僕はどう反応していいのか解らない。
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