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「その思いが残ったなんて馬鹿な考えは持ちたくないんだが、多分、神の気まぐれ、マジでサイコロを振りやがったんだな。ここに飛ばされたらしい。うん」
ああ、貴方もどうにかこの状況を説明しようと奮闘しているんですねと、僕は眠い目を擦りつつ思った。が、気になるのは言葉遣い!
「マジでとか、どこで」
「ああ。パソコン使える部屋みたいなんがあるだろ?どうにも俺の姿は君以外には見えないみたいなんだよねえ。一日、あちこちのパソコンを勝手に使って学習してきたんだ。何度か勝手にパソコンが動いていると騒ぎになったな。ははっ。これだけ高度な技術が発達した世界でも幽霊に驚くとは、こっちがびっくりだ」
「なんて都合のいい展開!?」
呵呵大笑するアインシュタインに、僕はすかさずツッコミを入れていた。何なんだよ、もう。
「解った。疲れすぎているんだ」
「うむ。互いにな」
いや、違う。あんたのはただの遊び疲れですよと、僕は頭を抱えながら思う。ああもう、夢なら冷めてくれ。マジで眠い。
「思うに君、俺の理論を真剣に考えていたんだろ?」
「急に真面目になりますね」
頭を抱えてしまった僕に同情したのか、アインシュタインも大人しくなった。
「そんな君だから見えると思うんだよ。頼む、神にもう一度サイコロを振らせる方法を考えてくれ」
「--無理です」
何でそうなる?と、発想についていけない僕は呆れてしまった。やはり天才は思考回路が違う。
「どう考えても確率の問題だろう。なんかさ、今の量子力学って多世界解釈とかあるんだろ?ははっ、ボーアが知ったら卒倒するだろうな」
ボーアとは、アインシュタインの論敵のような人だ。まあ、彼が知ったら気を失うか怒鳴るかのどちらかだろう。うん。
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