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例えば雨上がりの朝に君が隣にいること
明け方まで陽気な明かりが揺れるインターナショナル・バーと時代遅れ感の漂うラブホテル。その間の細い路地はいつでもうっすらとほの暗い。
そこをずっと進んでいくと、突き当たりで突然ひらける。
灰色のコンクリートで囲まれた、六畳ほどの敷地。まばらな雑草。真上には、四角く切り取られた窮屈な空。時折低い位置を横切っていく旅客機。
そこには、貧相な鳥居があり、寂れた社があった。稲荷の社だ。
大通りは四六時中人々が行き交い、けたたましい騒音に溢れている。しかし、その中の足が、その路地に折れていくことはめったにない。
今日は雨が降っている。静けさに包まれたその道は、いっそう人を固く拒絶するようだった。
なぜこんな場所にそんな不似合いなものがあるのかは、誰も知らない。もとより、その存在を知っている者自体が今はもう少ない。
だけど、噂というものは案外と根強く、そして巡るものだから。時に興味本位で、時に深刻に、気まぐれな風に運ばれる落ち葉のようにして人は訪れる。
そんな稲荷神社での、なんでもない、だけど、愛おしく、大切な一日。
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