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たとえ、苦しくても。
少女は夜の街の路地裏で、塀にもたれながら座りこんだ。
雪が容赦なくふってくる。食べものも底をつき、身体はすっかりやせ細ってしまった。帰る家もない。
少女はかじかむ手でマッチをすり、最後の一本のロウソクに火を灯す。それであたたまるわけはない。それでも少女の心は、いくらかあたたかい気持ちになった。少女はじっとその灯火をみつめる。しかししばらくすると、冷たい風がビュウと吹き、ロウソクの火は消えてしまった。
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