たとえ、苦しくても。

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ふと、眠気が襲ってきた。 頭がこくり、といってから、少女はハッと目を覚ます。いけない、眠ってしまうところだった。この寒さのなか眠ってしまっては、確実に死んでしまう。少女は力をふりしぼって、立ちあがった。 路地裏から出ると、レンガづくりのお洒落な家が目に入った。窓から光がもれている。ひとまず、そこを訪ねてみよう……。少女はドアをノックし、「ごめんください」と声をかけた。 中から出てきたのは、白いひげを生やした老人だった。「はいはい、なんのご用だね?」その優しそうな声に安心し、少女は言う。「ご迷惑なのは承知です。なにか恵んでいただけませんか」老人は少女の姿をみて驚き、「ひとまず中に入りなさい。寒かっただろうに」と、そう言った。
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