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食べ終わると、老人は揺り椅子をゆらしながら少女にたずねた。
「お嬢さんは、どうも大変な想いをしてきたようにお見受けする。いったいどんな人生を送ってきたんだい」
少女は答える。
「確かに大変でした。幼いころに親に捨てられ、いったんひきとってくれた家は暴力がひどく……出ていってからはこのように、恵んでくれる家を訪ねて、なんとか生きてきました」
「それはつらい。いま、いくつだね」
「たぶんですけど、15です」
「たった15か……」
老人は同情の目を向ける。
「そんな苦しいなか、どうやってすごしてきたんだい?ふつうだったら生きる気力をなくしてしまうだろう。あるいは盗みをしたり、ずるく生きる方法を考えるかもしれない。しかしお嬢さんは、そのようにはみえない。正直で懸命だ」
少女は「信じられないかもしれませんが」と前置きをしてから答えた。
「わたしは、苦しいときに『神様の声』がきこえるんです」
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