たとえ、苦しくても。

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「わたし、仕事がしたいんです」 「仕事かい」 老人は少し驚き、 「やっぱりお金がほしいのかい」 「いいえ、そういうわけじゃないんです」 「それならあえて仕事じゃなくても、もっとほかにもあるだろうに」 「いえ、わたし、いままで人に迷惑ばっかりかけてきたので。家をたずねても、こうして与えられてばかりです。なにか人の役にたつことをしてみたいんです。……やっぱりこんなわたしには、むずかしいでしょうか」 「いや」老人は首を横にふる。 「仕事なら紹介してあげられるかもしれない。内容にもよるけどね。で、どんな仕事をご希望かな」 「そうですね……」 少女は少し考えて、 「できたら、わたしのように、苦しんでいる人を救う仕事がしたいんです」
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