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「輔は、どんなのが好みなん?」
「面白い奴」
「そっかぁ、じゃあ当てはまるな」
朝、教室に入ったらそんな会話の光景を目の当たりにしてしまった。沙奈の言葉ってそういう意味だったんだ。でも今のところは、そんな気持ちにすらなってないからどうでもいいかな。
そのまま自分の席に着こうとすると、隣席の彼に何でか声をかけられてしまう。沙奈が何かを話したのだろうか。
肝心の沙奈は、彼から離れて廊下側席の上城くんの元に行っていた。何だかやる気見せてる気がするのは、わたしの気のせいだろうか。
「机って眠くなるよな?」
「た、たぶん?」
「隣だし、話していいか?」
「い、いいんじゃないでしょうか」
よく分からないけれど、机顔が彼のツボに上手くハマッてしまったらしい。
「あいつ、友達なの?」
七瀬くんが顔を向けた先にいるのは沙奈だった。ここは別に隠すことじゃないし、素直に肯定しとく。
「そうだけど、沙奈がなに?」
「葛西はどうか知らないけど、あいつ慣れすぎ。ちょっと苦手なんだよな」
「あ、そうなんだ。友達だからあんまり言わないでくれると……」
慣れすぎってなんだろ。沙奈はわたしと違って壁を作らないタイプだから、何気に人気あるんだよね。分かる気がする。
「言わないけど、あいつに比べて葛西は大人しそうだし真面目そうだから安心する。マジで」
「それ、けなしてる?」
「褒めてる」
「とりあえず沙奈のこと、悪く思わないでやってくれる?」
「思わない。代わりに、葛西のことを良く思ってていいか?」
何が言いたいのかさっぱりだけど、たぶん話し相手が欲しいし、隣だから話しかけて来てるんじゃないだろうか。
「良くわかんないけど、それでどうぞ」
「んじゃ、これからよろ! 七瀬って呼んでいいから」
「七瀬」
「いや、そうじゃなくて……まぁいいか」
隣だから仕方ない。今日以降、七瀬から話しかけられるのをそう思うしかなかった。
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