ホッケウの眠り

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 ホッケウは勇気を出して、お母さんのために森から町へおりていった。  町は森よりうるさくて、ひとは大きくてずっとアクセクうごいていて、とってもこわいところ。それでもホッケウは、ふくろう先生に教わった『こんびに』に入っておくすりをさがす。  自分の背よりもずっと高いたながいっぱいならんでいる。めいっぱい背伸びをして、ホッケウはがんばっておくすりをさがす。  キョロキョロ。  キョロキョロ。  高い高いたなのうえ。  やっとみつけたおくすりに、ホッケウは一生懸命ちいさな手を伸ばした。 「あなた、これが欲しいの?」  にんげんに声をかけられた。ちいさな「おんなのこ」。  はじめてのことだから、ホッケウはとてもびっくりした。  にんげんと話したこともなかったし、にんげんのことばをしゃべることもできない。  ホッケウはちいさな手と大きな目をたくさん動かして、必死にお母さんのことを伝えようとした。  おんなのこは何度もうなずいてくれて、背伸びして棚のおくすりをとってくれた。 おくすりを手渡されると、ホッケウはおおいそぎで『こんびに』を出て、森に向かってはしった。  後ろから声がしたけど、ホッケウは振り返らなかった。
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