13.きみと生きたい

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「光正…ごめん、私…。 やっぱり芳が好き」 光正は哀し気に微笑み、 それから小さく頷く。 それを見た芳がバチンと私の背中を叩き、 ワザと明るくこう言った。 「バカかお前?!トチ狂ってんなよ。 俺か?俺なんか好きになっても無駄…」 その芳を遮るように右手を上げ、 光正は私に向かって答える。 「…うん、何となく分かってた。 そうなんだろうなって」 「自分でも止められないの、 だって芳が私のことを好きだって。 だって芳が、芳が…」 この場で泣くのは卑怯だと思うのに、 緩みきった涙腺は簡単に涙を放出する。 「ああ、もう泣くなよ。 いいよ…井崎君のところに行きな」 「い、いいの?」 「いいも何も。 人の気持ちは変えられないから」 「み、光正のことも好きだけど、 なんかもう芳の方は年季が入り過ぎて 片想いが実るなんて思ってなかったから、 だから、何て言うか…」 「ああ、もうそれ以上言わなくていい。 これでも一応、傷ついてるんだからな」 「ご、ごめん。ごめんなさい」 泣き笑いのまま振り返ると、 芳は大きな溜め息を1つ吐いて 絞り出すような声で呟いた。 「せっかくだけど、 俺、雅とは付き合わないよ」
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