第一章

1/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

第一章

 怪獣の咆哮が辺りに轟く。いよいよモールにまで迫ってきた証拠だ。俺は物陰に身を潜め、左手にフィギュアを持ち、それを凝視しながら心の中で、こいつを作った時に思い浮かべた闘いのシーンを呼び起こし、右手に持ったカプセルを高く空にかざした。  起動コードは、既に音声登録してある。「エキサイテイション!」滅多に日常では使わないが、それらしいカッコイイ英語を叫びながらカプセルのボタンを押す。ミーの言うことが本当なら、これでカプセルからナノマシンが放出され、使う者の細胞を強化すると同時に、使用する者の視覚情報や、心で強くイメージした物の姿に擬態出来ると言う。  霧のようなものに包まれ、身体の底から、力が湧いてくるのを感じる。よし、ぶっつけ本番だが、これなら行けそうだ。力を込め、怪獣が居る方角を目指してジャンプする。俺の身体は高々と空中に舞い上がった。凄い…凄いの一言だ!  空中で身体を捻り、一気に巨大化した俺は、そのまま怪獣の首の付け根に狙いを定めてジャンピングキックを仕掛けた。     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!