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再会
一本道が枝分かれし、
畑や防風林は、新興住宅街や郊外型店に変わった。
高台の大きな病院に見下ろされるように
Oタウン憩いの家はあった。
クリーム色に塗られた四角い建物の正面に
「住宅型有料老人ホーム Oタウン憩いの家」
と書いてある。
玄関に、ご来館の方は2階へという看板。
1階は食堂らしく、
カーテン越しにテーブルと椅子が見える。
受付で、ゆり子の名を告げた。
俺の名は言わず、大学の後輩とだけ伝えた。
会ってもらえない事を考え、事前の電話はしなかった。
多少不愉快な思いをさせても、一目会えればいい。
メモを見てから、会いたいという気持ちばかり募った。
2年も前の事を誰かに見られていたからって、
もうどうでもいい。
ただ、あの事のせいでゆり子の人生が大きく変わったんだとしたら、
俺はどう責任をとったらいいのか。
どうしてもそれを確かめなくてはならなかった。
数分して、エレベータから、ゆり子が出て来た。
胸に施設の名前を小さく刺繍したエプロンをつけている。
目が合った。
ゆり子が両手を口に当てる。
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