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何度も歩いたコノ道は、君と歩いた道。
通り過ぎる街並みに、君はいつも笑っていた。
木蔭も街ビルも全てに僕たちは守られていた。
何も変わらないはずのコノ道は、全てが変わった。
君が隣に居ないだけなのに、木蔭も街ビルも何もかもが色付かない。
振り向いても、横を向いても、君は居ない。
十数年の時間は人も風景も変えてしまうのだろう。
こんなにも君に逢いたいと想ったのはコノ道のせい。
懐かしい香りが僕の横を通り過ぎる。
何度もこの香りを追いかけた記憶が蘇る。
不意に振り返る僕に反射的に振り返る人。
コノ道の色が戻る。
木蔭も街ビルも色鮮やかに映る。
髪をなびかせ振り返る人。
ショートカットだった君が髪をなびかせる。
【ご無沙汰し過ぎだね、元気?】
君の言葉に僕は笑えてるだろうか。
あどけなかった僕たちは大人になった。
君と偶然コノ道で逢わなければ、もう逢えなかったと思う。
あの時、嘘でも言えなかった言葉で
連絡先も知らない僕と君だけど
【じゃぁ またね】
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