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SA☆YA☆KA
僕が勤務する図書館の「インターネットコーナー」に、最近頻繁に訪れる女の子がいた。
背格好からおそらく小学校三、四年生くらい、さらさらのショートヘアで花柄の刺繍の入ったジーンズをいつも履いていた。彼女がここに寄るのは大体平日の午後二時半から三時半くらいで、実際椅子に座っている時間はそれほど長くはなかった。時間がくると、必ずきちんと最初の画面に戻して、僕に「ありがとう」と一礼してから、跳ねるように飛び出していった。
今日もいつものように、軽快にスニーカーを滑らせながら、書庫を整理していた僕のエプロンの裾を摘まんだ。
「今日もよろしくお願いしまあす」
「あそこはいつも空いてるから、ご自由にどうぞ。名前と住所はこっちで書いておくからね」
「駄目だよ、ちゃんと自分で書くもん」
小さいのに、良くできた子だ。「利用台帳」に、太くてしっかりした形のいい字が並ぶ。
加無木さやか。
珍しい名前だった。最初、それをどう読んでいいものか分からなかった。まさか、「かなしきさやか」じゃないよね?
「かむき、って言うんだよ」と彼女は言った。「この町じゃうちだけだってママ言ってた」

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