花園の恋人

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それがいい。それがわたしのここでの現実。 「ほら、これだよ」 自慢気に少年が指を指す。綺麗にのびた指の先には、虹色の光を放つ四ツ葉のクローバーがあった。 「わあ、素敵!私のために探してくれたの?」 「うん、摘み取ろうか」 私は少し考えて、同じように輝く少年に言った。 「ううん、これはここにあるから輝いているんだわ。また見に来ようよ。二人で幸せをお祈りしましょう?」 私はそっと輝く四つ葉をなでた。いとおしそうに。 「優しい君なら、そう言うと思った」 はにかみながら、彼が言う。 「それがいいね。君ってホントに素敵な人だ」 ゆっくり私は首を振る。 「そんなことないのよ」 「私はあなたがいるから優しくなれる気がするの」 「そんなことないよ、君は元から、とても優しくて綺麗だ」 見つめあった私達は、抱き合いながら蓮花の中に横たわり、長い長いキスを交わした。 ああ、私は今この人と生きているわ。なんて幸せな恋をしている私達。ずっと続いて。お願い。一生この恋人といたいの…… ジリリリリリ…!! 目覚ましが無情にもなり響いた。 「もー!わかってるっての!」 しぶしぶ止める。もう朝8時なのかよー、ちっ! 「よっと」     
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