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花園の恋人
さあて、今夜も私は夜に生きるわ。
私、24歳、女。1Rの独り暮らしの部屋で、お気に入りの場所はベッドだけ。
さあて、今夜も眠って『生きましょう』。
私はぼふん!と、勢い良く布団に入ると、眼を閉じて眠りについた。
気がつくと、私は白いワンピースを着て、蓮花達の花園の中に座っていた。青空の様だけど霞がかかっていて、どこまでが花園なのか検討もつかない。どこまでも続いてみえる蓮花、芝桜、クローバーなどの花花が続く丘。その蓮花の中で教会で神に祈るように手をあわせ、私はいつも通り彼を待っていた。
ふと、人の気配。
「今日も来てくれたんだね」
目を開けて見上げると、いつもの少年が微笑を浮かべながらもう私の前に立っていた。繊細そうで髪がさらさらで薄茶色が陽に透けて、とてもきれいな16歳くらいの少年。私の、たった一人の恋人。
私も微笑み返した。
「今日は、君に見せたいものがあるんだ」
「ふふ、なあに?」
私達は手を繋ぎ、楽しそうに花園を歩き始めた。
はにかんだ少年の、名前は知らない。毎晩会うけど、なんとなく聞きたくないし、こちらも何も言ってない。夢がなくなりそうで。私も、少年にあわせて16歳くらいに映っているに違いないから。
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