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ある人里離れた研究所に若い助手のR氏と年老いた博士のM氏が住み込みで運について研究をしていた
ある日二人は求めていた薬を作り上げた。
「R君、遂に完成したよ」
「ははあ、私は博士の言う通りに動いていたので何も知りませんが。どのような効き目があるのですか」
「そういえば言っていなかったな。運を上げる薬だよ。これを売れば私たちは大金持ちになれるぞ」
「人にはまだ飲ませていないのでは。」
「そうだなぁ、R君飲んでみないか」
博士に勧められるようにR氏は小さな錠剤を口に入れ飲んだ。
「どうだい。」
「別に何も変わったようには思えませんが。」
疑問を抱いたM博士は町へ降りて宝くじを買いに行こうとした。
町へ降りている途中で博士が財布を忘れたと言い待っていてくれと頼まれ、助手は従った。
しばらくして大きな地震が起き、研究所は瓦礫の山となって博士はその下敷きになって亡くなった。
その後助手のR氏はポケットの中にあった錠剤を持って大きな研究室へと入った後運が良くなる薬を再度開発をして製薬会社を作りその薬の特許で大儲けをした。
全世界の人口の大半がその薬を飲み始めた頃製薬会社の業績は急に下がり、薬の効能も薄くなり世界各国からの非難を受け、R氏は自殺をした。
そのときの遺書にはこう記されていた。
「世界中の人間が幸運に恵まれたらそれは幸運ではないのだろう」
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