眠り姫は、秘めたる夢の中を今宵も彷徨う。

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今夜は満月だった。 いつになくドクターは溢れ出る欲望を満たしたくて仕方がなかった。 今夜はどの患者にしようか? やはり、今夜はどう考えても「愛華」しか思い付かなかった。 康雄の姿を見た今夜は、人妻を抱く快感が増長する。 興奮するのである。 康雄は美男子であった。 ドクターに負けず劣らず男前だった。 それがドクターにとっては癪の種だった。 だからこそ康雄が帰り際に、わざと心にグサリと傷付く言葉を選んでいったのである。 じわじわと真綿で首を絞めるように、優しい口調で棘を刺す。 康雄が泣く姿はとても快感であった。
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