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本音を言えば(完結)
「寝相の悪さを直したい?」
コクリ、と頷くと魔法薬を作るのが得意な友人は困ったような顔をした。
「うーん……おねしょをなくす薬とかはあるけど寝相はなぁ……。寝てる時に身体が動かない魔法をかけるとか?」
「それだ!」
残念ながら魔法薬に寝相がよくなるものはなかったらしいが、友人の提案を受け僕は手を打って喜んだ。
さっそく学生寮の部屋に戻り、ルームメイトに「僕が眠ったら身体が動かなくなる魔法をかけてくれたまえ!」と言ったが何故かうろんげな表情をされた。
「ええ? いつも通り外で寝てくれればいいだろ? 布団運ぶの手伝うしさ」
「僕は今度こそこの部屋で寝たいのだ!」
「……次この部屋壊したら退寮って言われてるんじゃなかったっけ?」
「……ぐっ! そ、それはそうだがいいかげん屋内で寝たいじゃないか!!」
ルームメイトは深くため息をついた。
「……じゃあ、魔法が効かなかったら容赦なく窓の外へ蹴り出すから」
「……わかった」
結果として魔法は効いたのだが、無詠唱魔法には身体が動く動かないは関係なかったわけで。
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