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10話 かぐやストーリー
男は今日も、山へ森林伐採に向かった。根の腐った木を伐採して、山に病気が広がるのを防ぐのが仕事だ。
するとその奥にある竹藪から、光る竹を見つけた。
何だろうと思い、男はその竹を切り落とした。
すると「おぎゃあ、おぎゃあ!」と手のひらサイズの赤ん坊が現れたのだ。「こりゃあたまげた!」男は赤ん坊を家に連れて帰った。
「どうしたんです?あなた」妻はその赤ん坊を見てびっくり。
「きっと子供のいないわし達に、神様からの贈り物だよ」と喜んだ。妻も赤ん坊の顔を覗き込んで「女の子ですよ」と笑い返した。
そして女の子は、すくすく育って行った。
そしてカグヤと命名された彼女は、立派な二十歳の美女となっていた。
「今日も仕事かい?」おばあさんは朝食を用意しながら、カグヤに訊いた。
カグヤは無言で味噌汁を飲んだ。
すると「これ、ワカメ入ってるじゃん!私がワカメ嫌いな事知ってるでしょ!」とカグヤはテーブルをバンッ!と叩いた。
「ごめんよカグヤ。体にいいと思って…」おばあさんはテーブルにこぼれた汁を拭いた。
「それがうざいのよ!本当に」カグヤは食事も途中で、上着を羽織り出て行った。
「どうしてこんな子に育ったんだろうねえ。甘やかし過ぎたのかねえ」おばあさんは独り言みたいに、食卓を片付けだした。
家の近くの、マンションの一階にある店舗に、カグヤは入って行った。
看板には " ヒーリング かぐや敷 " と書かれていた。
カグヤの仕事場である。
彼女には不思議な力があった。手のひらをかざすだけで、人の心が癒されるとネットで評判になり、瞬く間に話題となった。
そんなカグヤにも悩みがあった。
いつも、おじいちゃん、おばあちゃんにきつく当たってしまう。本心はそうじゃないのに。そして、自分にまた自己嫌悪してしまう。
人の心は癒せても、唯一、自分の心だけは思い通りにならなかった。
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