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2話 しびれ
お爺ちゃんが亡くなった。
僕にいつもお菓子を買ってくれて、とても優しかった。
ポクッポクッポクッ。
今はお葬式で、お坊さんがお経を唱えている。
ポクッポクッポクッ。
あれ?うわあ!何か足がしびれてきた。足の裏を触ると、まるで電気が来たみたいにピリピリした。
どうしよう?思わず、隣のお母さんにすがりついた。
「どうしたの?足がしびれたの?ふふっ、まだ子供ね。ほら、足を伸ばしなさい」と、小声で言ってくれた。
その瞬間、しびれが消えた。あれ?治った?お母さんを見ると、顔が真っ青だった。
ポクッポクッポクッ。
あら?どうしたのかしら?急に足がしびれて…あたたた。ええ?まずいわね。
母親のクミコは、心の中で格闘していた。
「それでは焼香をお願いします」と住職が声をかけた。
まずい、まずいわ!今立ち上がったら、焼香台をひっくり返して大惨事になるわ!などと、大げさに想像していた。
喪主のタツオが焼香を済ませて帰ってきた。そして
「おい!何をしてるんだよ。早く立ちなさい」と小声で催促してきた。
「でもあなた、ちょっと…」とタツオに寄りかかった。すると…
あら?治った?
しびれが消えて、クミコはすくっと立ち上がり、そそくさと焼香台に向かった。
チーン!
うお!えー?何だあ?急に足がしびれて…あたた。
タツオは心の中で、のたうち回った。やばいぞ、これから喪主の挨拶があるのに立ち上がれん。
タツオは両手をグーにして、足の裏をバンバン叩いた。
「それでは喪主より、ご挨拶があります」と、タツオが呼ばれた。
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