2話 しびれ

2/2
前へ
/18ページ
次へ
タツオは顔を真っ赤にしていた。 「あなた、何をしてるの?早く」クミコが催促してくる。「分かってるよ!分かってるんだけど…」と、タツオはクミコの肩に捕まった。 すると…しびれが消えた。何だ? タツオは何も無かったかのように、立ち上がり挨拶を始めた。 しびれは、タツオからクミコに移っていた。どうやら触った人に移るようだ。 またー?何で?いたたたっ!クミコは顔をしかめた。まずいわ!さっきより、しびれが強烈だわ。 タツオの挨拶が終わると、会葬者を送り出さなくてはいけない。自分だけ座っていたら、何て酷い嫁なんだとレッテルを貼られるわ。ううっ。あなた、話をもっと引き伸ばして頂戴。何ならおじいちゃんの生い立ちから話して…などとあり得ない事を祈っている。 「お母さん、どうしたの?」息子のタカシが心配そうに訊いてきた。 クミコは涙目になりながら思った。 ごめんねタカシ。子供だからと言ったけど、このしびれは大人でもキツイわあ。 そしてそっと、タカシの頭を撫でた。 あれ?治った? 隣を見ると、タカシがひっくり返っていた。 終わり
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加