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5話 家庭用アンドロイド
家に帰るとケージが迎えてくれた。
「オカエリナサイマセ」
今は西暦2090年、ケージはAI知能の家庭用アンドロイドだ。2075年から、アンドロイドが普及し出して、今では各家庭に一台が義務付けられている。
俺は風呂にしようか、食事にしようか悩んだ。
「ニトウヲオウモノハ、イットウモエズ」
「うるさいよお前は!」何故かケージはことわざマニアだ。
俺は、先に食事をする事にした。ワイングラスを片手に「んー、いい香りだ」とたしなんだ。
「ネコニコバン。ブタニシンジュ。ソレカラ、エート…」
「うるさいよ!ったく!どれだけ喋るんだよ」
図星なだけに、余計に腹が立つ。
すると彼女から電話だ。俺は音声をスピーカーホンにした。
「最近、連絡してこないのね」と、いきなり彼女が言ってきた。「そうかな?いやー最近忙しくってさ」俺がそう言うと続けて「ウソモホウベン」
「え?今何て?」と彼女が訊き返してきた。
「何が?あっほら、今日は何してたんだ?」と俺は危うく切り返した。俺はケージを睨んだが、勿論ヤツの顔色は変わらない。
「ふふっ久し振りに髪型変えたの。ついでに洋服も新調しちゃった」と声が弾んでる。
「マゴニモイショウ。ヤケイシニミズ。ソレカラ、エート…」
「ちょっと!何ですって!」彼女は大声を上げた。
「いや、違うんだ。これには訳が…ツーー」電話が切れた。
俺はケージを睨んだ。
「……サルモノハオワズ」
「おめーが言うんじゃねえよ!」頭にきたんで、もう寝る事にした。
するとケージが枕元に座った。そう言えば子供の頃、よくケージがおとぎ話を聞かせてくれた。
心地よくて、ウトウト聞いていたもんだった。
こいつ、お詫びのつもりか?少しケージの優しさが垣間見えたようだ。
うーん。中々寝付けないぞ。
「アイスノアタリハ、ジツハヨンパーセントデアル。アイロンハ…エー…」
雑学本かよ!
気になって眠れねーよ!
終わり
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