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届けられない「好きです」という言葉が私の心を締め付ける。
私は、
せめて、他のみんなには私と同じ悔いが残らないようにと、
LINEで相談に乗っていった。
愛と兄の、
すれ違う思いを愛に全て明かし、
その誤解を解いたこともあった。
それ以降は、
兄は恥ずかしがって口にしないものの、
朝練という名のデートを繰り返しているらしい。
兄のことは好きだし、愛も親友なのでこの二人の恋愛が成就するのは、ホントに嬉しい。
そのはずなのだが、
私の中の後悔が、私の心を締め付ける。
「もし、ケンちゃんと付き合えってたら、私もこんなことができたのかな……」
あるとき、朝練に付き合っていた愛が転んで怪我をした事を兄が伝えた。
怪我に慌てる兄の様子が、
私に、ケンちゃんの事故に戸惑う自分を思い出させる。
今までになく胸が締め付けられる。
私は、気が付くと、
雨に濡れたままケンちゃんのお墓の前で泣いていた。
そのとき、突然、竜一が私に傘をさした。
「学校から突然いなくなったから……ここかと思って……」
息を切らせ雨に濡れた竜一の姿を見て、全てを察した。
竜一とは同じ高校に進み、愛の様子を教えたりしてよく話していた。
高校生になって、私の中で竜一の存在は日に日に大きくなっていった。
私は自分の中の感情を押し殺していた。
それを認めてしまえば、ケンちゃんが消えてしまうような気がしたから……でも、そうじゃないと今ならわかる……
「あんまり心配することをしないで……こんなとこで言うのはおかしいかも知れないけど……ボク、冴子のことが好きだ。」
竜一の言う通り、雨の中のお墓の前での告白なんて、ムードも何も無い……
それでも、竜一の気持ちは十分伝わってきた。
今度こそ、私もしっかりと伝えないと……
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