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アイスクリームショップの二階は六割くらいの席が埋まっていて、その中には同じ高校の制服を着た子もいる。
いまわたしは、信じられないことに時田くんと向き合ってアイスを食べている。ほかの誰も誘ってなくて、正真正銘時田くんとふたりだけだ。
なんでもないみたいな顔をしているけど、ほんとは心臓がばっくばくだった。普段はトリプルだっていけちゃうのに、シングルにしてもらったアイスすらなかなか食べ進まない。
時田くんはチョコミン党を豪語し、チョコミントとチョコミントの間にストロベリーチーズケーキというセレクト。
なんでこんな状況になっているかというと、今日はミーティングだけで練習がないという時田くんが、この間泣かせたお詫びって誘ってくれたからだ。
時田くんのために泣いたんじゃないけど、ズルいわたしはそれを言い出せないまま誘いに頷いた。
「時田くん、話聞いてほしかったり……する?」
向かいの席でそわそわと落ち着かないのは、緊張してるからじゃない。そんなことはよく分かってる。
──だとしたら……
「嫌?」
「いいよ……だって誰にも言えないんでしょ?」
「うん。けどまた泣かせたら悪いからどうしようかなって」
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