失恋の続き

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「大丈夫だよ。この間は時田くんが泣いてたからつられただけ」  時田くんのせいだよと言うと、時田くんはぱっと頬を赤くした。しまったって思ったけれど遅い。 「ちがうの! 時田くんがそこまでその人のこと好きだったんだなって思ったし、なんかちょっと……うらやましくもあった、かも」 「槇は好きなやついないの?」 「え……」  突然の切り返しにわたしはフリーズしてしまった。  時田くんだよ、とは冗談でも言えない。言えるはずがない。 「って、俺に言えるわけないか。ごめん」 「う、ううん」  言えない理由は恥ずかしがっているせいだと思われたみたいだ。わたしはその勘違いにほっとする。 「ほんと、いい? 話しても」 「うん。アイスもごちそうになったし」 「サンキュ」  時田くんがはにかんで笑う。頬に線ができて凛々しい顔立ちが幼くなる。その笑顔が一番好きだ。  ストロベリーチーズケーキを数回スプーンで突いた時田くんは、ぼそりとつぶやく。 「初恋だったんだ」 「へ、へえ……」     
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