失恋の続き

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*  お正月明けの休日。わたしはマナとふたりで市の体育館にいた。天井の高い体育館は暖房がきいていなくてものすごく寒い。こんな場所で震えているのは、時田くんの出る試合を応援するためだった。  観客席には同じ高校の制服を着た男女がたくさんいる。その中にわたしはある人を見つけた。  長かった髪が切りそろえられていて、肩の上で揺れている。三年生は受験の追いこみ時期のはずなのに、ウインターカップの地区予選初日、応援席にアオイさんがいた。長いまつげが際立つ横顔は、あいかわらず綺麗でみとれてしまった。  ──時田くんも気づいたかな?  初戦を無事突破した時田くんに、『おめでとう』のメッセージは送れたけれど、そのことは聞けなかった。
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